【今日の質問（しつもん）】※解答（かいとう）はスクリプトの下にあります。
①現在（げんざい）のアニメの作品数（さくひんすう）は年間（ねんかん）何本（なんぼん）ですか。
②どのような仕事（しごと）のほうがアニメーターよりも稼（かせ）げると言っていますか。
③個人（こじん）レベルで若（わか）きアニメーターを支援（しえん）している団体（だんたい）は、例（たと）えばどのように支援（しえん）していると言っていますか。
【スクリプト】
こんにちは、Japanese with Yoshikoへようこそ！今日は「日本のアニメーターの現状（げんじょう）」についてお話しします。今日のフレーズは「根付（ねづ）く」です。意味（いみ）を知らない人はどういう意味か想像（そうぞう）しながら聞いてみてくださいね。
日本のアニメは世界中（せかいじゅう）に多くのファンがいるほど人気（にんき）の文化（ぶんか）ですね。日本語学習者（がくしゅうしゃ）の中（なか）にはアニメがきっかけで日本語を勉強（べんきょう）するようになった人が多いのではないでしょうか。また、日本の子供たちは小さいころからアニメに囲（かこ）まれて育（そだ）つので、アニメに親（した）しみがあります。そんな日本文化に根付いている、外国人（がいこくじん）に愛（あい）されているアニメを作（つく）っている人たちの生活（せいかつ）はどうなっているのか？収入（しゅうにゅう）はどれくらいなのでしょうか。
まず始（はじ）めに、アニメ業界（ぎょうかい）の基本（きほん）情報（じょうほう）を数字（すうじ）でお伝（つた）えしましょう。1990年代（ねんだい）の年間（ねんかん）のアニメの作品数は約100本、現在は急増（きゅうぞう）して400本（ぽん）を超（こ）えています。アニメの需要（じゅよう）は十分（じゅうぶん）あり、市場（しじょう）も年々（ねんねん）拡大（かくだい）しています。アニメーターにもいろいろ職種（しょくしゅ）がありますが、原画（げんが）を描（か）く人たちは2019年時点（じてん）で最低（さいてい）5,200人はいました。外国人スタッフはその中で15-20%ほどです。
基本的（きほんてき）にアニメーターはフリーランスで働（はたら）いていることが多く、もらえる報酬（ほうしゅう）はかなり少ないです。特（とく）に20代（だい）前半（ぜんはん）の経験（けいけん）の浅（あさ）いアニメーターだと、1日（にち）14時間（じゅうよじかん）以上（いじょう）働いても満足（まんぞく）な生活を送（おく）れる収入は得（え）られません。レストランのウェイターやスーパーのレジ打（う）ちをしたほうがよっぽど稼げます。薄給（はくきゅう）で休（やす）みなく働くので、うつ病（びょう）になる人も多いそうです。
どうして、アニメーターの収入がそんなに低（ひく）いのでしょうか。理由（りゆう）は、アニメ業界の構造（こうぞう）が悪（わる）いからです。多くのアニメ制作（せいさく）会社（がいしゃ）は、さまざまな企業（きぎょう）から資金（しきん）を出資（しゅっし）してもらいます。しかし、50年以上前のアニメと比（くら）べるとクオリティをあげるため原画を描く量（りょう）が数倍（すうばい）から数十倍（すうじゅうばい）増（ふ）えているにもかかわらず、資金は50年前とほぼ同じ。少ない資金でアニメを作らないといけないので、コストをカットしなければいけません。そこで、コストが安いフリーランスに仕事を依頼（いらい）します。ほかの業界では、そういう状態（じょうたい）だと仕事をしたい人がいなくなり、企業も賃金（ちんぎん）をあげるしかなくなりますが、アニメ業界は違（ちが）います。やはり、アニメの仕事に携（たずさ）わりたいという人やアニメーターという職業（しょくぎょう）に憧（あこが）れがある人が多いのです。離職率（りしょくりつ）が高い一方、挑戦（ちょうせん）してくる人も絶（た）えないというのが現状（げんじょう）です。そうすると必然的（ひつぜんてき）に制作会社も賃上（ちんあ）げをせず、この悪循環（あくじゅんかん）がいつまでも改善（かいぜん）しないのです。
賃金を上げるために製作費（せいさくひ）をあげるのはどうか？出資企業からは「アニメはドラマよりも安く作れる」と思われており、もし通常（つうじょう）の賃金を払（はら）うと製作費が数倍に膨（ふく）れ上がります。そうすると拡大中（かくだいちゅう）のアニメ市場が減少（げんしょう）に向（む）かう可能性（かのうせい）があります。政府（せいふ）からもいろいろな支援がありますが、なかなか改善には向かっていないようです。
しかし、個人レベルで若きアニメーターたちを支援している人たちもいます。クラウドファンディングで集（あつ）めた資金でアニメーターたちの寮（りょう）を運営（うんえい）している団体が一例（いちれい）です。
日本文化を代表（だいひょう）するアニメを支（ささ）えるアニメーターの皆さんがよりよいアニメを作れるように、クラウドファンディングなどの支援を通（とお）して彼らの生活が改善していくことを願（ねが）っています。
どうでしたか？今日のフレーズは「根付く」でしたね。文字通（もじどお）り「植物（しょくぶつ）が根（ね）を張（は）り、生（い）きていくようになる」という意味もありますが、もう一つ重要（じゅうよう）な意味として「新しい物事（ものごと）が定着（ていちゃく）する」という意味もあります。「～が根付く、～に根付く」という形（かたち）で使われます。例文です。「日本では様々（さまざま）な場面（ばめん）で会釈（えしゃく）する文化が根付いている」「『いただきます』や『ごちそうさま』は、食事をするときのマナーとして日本人に根付いている慣習（かんしゅう）のひとつです。」皆さんの国で根付いている文化は何ですか？是非、「根付く」を使って例文を作ってみてくださいね！それではまた、ばいばーい！
【今日の質問の解答】
①400本以上
②レストランのウェイターやスーパーのレジ打ち
③クラウドファンディングで集めた資金でアニメーターたちの寮を運営している